昔のこと・・・とりとめもなく⑥最終回：michaela's diary：SSブログ

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昔のこと・・・とりとめもなく⑥最終回　[身辺雑記] [編集]

野外調査の仕事で一番多く行ったのは、原子力発電所のための調査に行った、福井県の敦賀半島かもしれません。

11月頃から、北陸の空はどんよりとした日が多くなり、ちょっと前まで晴れていたと思ったら急に雲が出てきて霙混じりの雨が降ってきたりします。

初めて敦賀を訪れた時もそうで、海辺を歩きながら冷たい雨に打たれ、同行していたほかの部の先輩から「初っ端がこれで、辞めるって言われたらどうしようかと思った・・・」と心配されました。

小さな半島の先端に集落があり、そこの民宿によく泊まりました。

当時は敦賀の街から車で30分ほど、曲がりくねった峠道を走らないと、その集落には入れませんでした。

あるとき峠道に入ると、大きな荷物を持ったお年寄りが歩いていました。

その道は集落にしか続いていませんから、声をかけ、車に乗ってもらいました。

集落に入るとそのおばあさん、何やら荷物をゴソゴソし始め、ジュースでも買って、と紙に包んだ100円玉を無理やり私に押し付けて降りていきました。

その峠道も、原発の完成とともにトンネルができたようです。

またあるときは、泊まっていた民宿で夜、宿の人が全員出かけてしまったのか誰もいなくなり、縁側から近所の人が持ってきたキャベツを預かったことも・・・。

海がきれいで、のんびりしたところでした。

動物調査のときは、夜の仕事もあります。

林道などを車で走ってキツネ、ハクビシン、ウサギなどの哺乳類が出てくるのを探したり、ブラックライトを使って昆虫採集をしたり・・・。

福島県の相馬ではある時、そんな夜間調査の途中で忘れ物を宿に取りに戻りました。

鳥担当の私は、そういう時はパシリですから、一人で車を運転していましたが、途中、警察の検問で止められました。

飲酒運転のチェックかと思ったらそうではなく、数日前に起きた保険金殺人の関係で、同じ時間帯に通る車を調べているとか。

「どちらから？」と問われて、免許証を見せながら横浜から、と答えました。

「観光ですか？」・・・（観光で来てたらこんな時間にこんなところを一人で走ってるかい！）「いいえ、仕事です」

「そうですか、相馬は良いところですから、ゆっくりしてってくださいね」・・・（だから仕事だって！）

人の良さそうなおまわりさんでした・・・。

一般人は入れないところもずいぶん行きましたが、火力発電所の構内を車で走っていて、IDバッジを空いていた窓から飛ばしてしまい、探しに戻ったこともあります。

電力会社の人を乗せて九十九折れの道を走り、車酔いさせてしまったり・・・。

同じ宿に泊まっていたほかの調査会社の人とビールをかなり空け、翌朝その人が全部支払って発っていたこともありました。

安い出張用旅館しか取れず、夜中目が覚めたら部屋の外の流しで酔っ払いが吐いているのが聞こえてきたこともあります。

酔っ払いといえば、某地方女子大の学生グループと一緒になった時は、酔っ払った女子大生というのは酔っ払いオヤジと同じだな、と思ったことも。

第1回で書いた学生時代の衝撃的なエピソードを始め、ずいぶんいろいろな体験をしてきたおかげで私もちょっとやそっとのことでは驚かなくなりました。

先輩が、俺たちの仕事は自然の最期を看取ること・・・と自虐的に言ったこともある「環境アセスメント」という仕事。

今もたいして変わっていないようですが・・・若い頃の私は貴重な経験をたくさんさせてもらいました。

あのころ行った場所は、道路ができていたり、発電所やダムができていたり、みんな様変わりしているはずです。

元気に旅行ができるうちに、それらの場所をもう一度たどってみたいものです。

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