昔のこと･･･とりとめもなく⑤･･･秘湯を訪ねて

最終回にするつもりでしたが、1回では書ききれないのであと少し･･･。（引っ張るわけではありませんが･･･）

仕事をしていた頃、野外調査でずいぶんあちこち行きましたが、想い出に残る場所というのもいくつかあります。

そのひとつに、黒部峡谷の黒薙温泉という所があります。

この記事のために検索してみたら、立派なホームページ（http://www.kuronagi.jp/）もあって驚きました・・・。

黒四ダムで有名な黒部には、富山県の宇奈月温泉から黒部峡谷鉄道（http://www.kurotetu.co.jp/）に乗って入るルートがあります。

電力会社の鉄道を観光用にした、トロッコ列車で有名です。

調査は宇奈月から欅平という所まで行いましたが、途中にその黒薙温泉がありました。

黒薙温泉駅でトロッコを降り、トンネルを峡谷のいちばん下まで歩いて抜けるとそこに旅館があります。

ひなびた宿、という言葉がピッタリで、湯治場にもなっているらしく、炊事場にお客さん用のアルマイトの鍋が並んでいたのを覚えています。

川に面した温泉に入っているとカジカガエルの合唱が聞こえ、時には対岸にサルやカモシカが現れます。

仕事上必要な宿泊とはいえ、こんな温泉に入れたのも役得でした。

峡谷の一番下ですから日当たりは決してよくなく、宿のおかみさんが妙に色白だったのが印象的でした。

この宿にプロパンガスのボンベを運ぶ人に出会ったことがありますが、結構年配の女性で、自分の背丈ほどもあるガスボンベを背負って黙々と暗いトンネルを下っており、ビックリしました。


野外調査は四季に渡って行うので、トロッコ列車が動いているシーズンはトロッコで移動したり途中歩いたりですが、冬場、鉄道が休みに入ると軌道に沿って歩かなければなりません。

宇奈月の宿に泊まると、冬の北陸特有の暗い空、宿の人には「冬場に泊まりに来るお客さんは山で遭難した人の家族がほとんどだから、あんた達みたいなのは珍しい･･･」と言われてドヨ～ンとしたこともあります。

冬の峡谷鉄道の軌道はトロッコが通らないので安心ではあるのですが、当然雪に埋もれています。

雪の中を歩きながら、ところどころにある待避所を兼ねたトンネルに入り、冬眠中のコウモリを捕獲するのも仕事でした。

春から初夏には新緑が美しく、オオルリのさえずりが響いていました。

黒部峡谷、黒薙温泉･･･もう一度訪れたい場所です。

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タグ：黒薙温泉 黒部峡谷鉄道

コメント 6

今晩は。
やはり調査などをすると温泉がいいですよね。私は調査をした事はありませんが、やられている方はいますので、同じような事をいってましたから。
by doudesyo (2009-03-16 19:09) 

doudesyoさん、鳥の調査だと朝早くから歩き、日中は昆虫採集を手伝い、夜は標本整理･･･やはり温泉は最高でした！
by michaela (2009-03-16 23:48) 

黒部峡谷は映画で観ただけですが、とても奥深いところ、との印象があります。
そんなところで調査だと、不便なことも多かったことでしょうねぇ。貴重な体験談、ありがとうございます。
by cocoa051 (2009-03-17 13:06) 

cocoa051さん、若かったせいでしょうか、不便というより楽しい、面白いという気持ちのほうが強かったように思います。今となっては本当に貴重な体験をしました。
by michaela (2009-03-18 08:19) 

ここはまだ訪れたことがありません。
アルマイトの鍋、いまでキャンピング用品で売ってます ♪
ガスボンベを背負って渓谷を歩くのは、
相当な体力と神経を使うでしょうね。

えっ、冬場は歩くんですか？　今でも？
どのくらい歩くのでしょう。
是非、冬に行ってみたい。
by わか (2009-03-19 00:51) 

わかさん、11月の終わりから鉄道が止まり、宿も春まで休みになるので、一般の人は入れないと思います。仕事の時は許可をもらって軌道を歩いてましたから。
峡谷鉄道からの風景、わかさんならいい映像にできるでしょうね！
by michaela (2009-03-20 08:21)