不思議な出会い [メインテーマ]
いつも武術練習をしているお寺・・・広大な境内にはいろいろな人が行き来している。
そんな中に、一人の男性がいる。
年の頃は・・・中年。
小柄で・・・いつも酔っ払っているか、精神的な問題か、大声をあげながら片足を引きずるようにしてゆっくり歩きながら、時折通りかかる人にも叫んだり・・・。
からんできたりすることはないけれど、すれ違う人たちは目を合わせないように、道の反対によけたり、遠巻きにしたり、無視したり・・・。
私たち武術仲間の間では、動きからして空手か何かやってたんではないか、たぶんパンチドランカー(格闘技などで頭部にダメージを受け、脳障害を起こしている人)ではないか・・・とりあえず練習の動きを見せたりあまり刺激しない方がいいと言われていた。
私が犬の散歩で通りかかると、大型犬が苦手なのか、叫ぶのをやめて敬礼するような手つきで見送ったりして、警備員の人は、犬が苦手なんですよ、と言っていた。
誰が見ても、あまり関わりになりたくはない人だった。
ある日、練習をしていると、かなり離れたところでいつものようにその男性が上半身裸になり、大声で叫んでいた。
練習を終えて歩いていると、数十メートルは離れていたけれど、その男性が私たちの方を見て手を上げ、なんと抱拳礼(中国武術でやる、胸の高さで左手で右手の拳を包む礼)をしてきた。
もちろん私たちも抱拳礼を返した。
それからかなり経った今日、練習をしているとまたその男性が現れた。
遠くからでもその声で存在がわかる。
オジサン来たね~・・・あ~近づいてきちゃったよ~・・・
と思っているうちに、私たちが練習をしている近くまで来た・・・。
ん~どうなるんだろ~と思ったけれど、ふと見た時に目が合ってしまったので、片手を上げて挨拶した。
男性も片手をあげて挨拶を返してくれ、「シーッ」と言うように右手の人差し指を口に当てた。
私たちはそのまま練習を続けていたけれど、男性はそれまでの大声が嘘のように静かに辺りを歩き回ったり、何かを眺めたりしていた。
やがて、地べたに座り込んで、紙に何か書いている様子だった。
かなりの時間、そうやって何かを書いていた・・・左手にはグローブをはめたように何かを撒きつけていたので、右手だけで書くのは大変そうだった。
やがて私たちもそろそろ上がろうかという時、男性が手招きをした・・・視線から見て私に対してのようでもある・・・。
私?と自分を指差すと、そうそう・・・とうなづく。
師匠やあに弟子も一緒に男性に近づくと、紙を差し出してきた・・・さっきから書いていた紙。
「運動するのは健康に
いいことです。
強いね!
かっこいい!」
しっかりした、良い字!
裏には人の絵が描いてあって、「プロレス」の文字。
そうか、プロレスやってたんだ!
声に出しながら読んで、男性にありがとう、と言うと、男性も「ありがとう」
そして、おちょこで一杯やるマネをしながら、自分の頭を指差してクルクルと・・・。
そうか、アルコールで頭やられちゃったといいたいんだ・・・。
なんだか、せつなくて、嬉しくて・・・叫んでるだけみたいだけど、自分のことも周りのこともわかってるんだね・・・みんなが避けているオジサンが実はすごくいい人に思えて・・・。
帰りがけ、お互いに手を振って別れたけど、その後はまたいつものように意味不明なことを大声で叫びながら、フラフラと歩いていたおじさん・・・。
なんか、すごい人とお友達になってしまったかもと思ったひととき・・・。
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そんな中に、一人の男性がいる。
年の頃は・・・中年。
小柄で・・・いつも酔っ払っているか、精神的な問題か、大声をあげながら片足を引きずるようにしてゆっくり歩きながら、時折通りかかる人にも叫んだり・・・。
からんできたりすることはないけれど、すれ違う人たちは目を合わせないように、道の反対によけたり、遠巻きにしたり、無視したり・・・。
私たち武術仲間の間では、動きからして空手か何かやってたんではないか、たぶんパンチドランカー(格闘技などで頭部にダメージを受け、脳障害を起こしている人)ではないか・・・とりあえず練習の動きを見せたりあまり刺激しない方がいいと言われていた。
私が犬の散歩で通りかかると、大型犬が苦手なのか、叫ぶのをやめて敬礼するような手つきで見送ったりして、警備員の人は、犬が苦手なんですよ、と言っていた。
誰が見ても、あまり関わりになりたくはない人だった。
ある日、練習をしていると、かなり離れたところでいつものようにその男性が上半身裸になり、大声で叫んでいた。
練習を終えて歩いていると、数十メートルは離れていたけれど、その男性が私たちの方を見て手を上げ、なんと抱拳礼(中国武術でやる、胸の高さで左手で右手の拳を包む礼)をしてきた。
もちろん私たちも抱拳礼を返した。
それからかなり経った今日、練習をしているとまたその男性が現れた。
遠くからでもその声で存在がわかる。
オジサン来たね~・・・あ~近づいてきちゃったよ~・・・
と思っているうちに、私たちが練習をしている近くまで来た・・・。
ん~どうなるんだろ~と思ったけれど、ふと見た時に目が合ってしまったので、片手を上げて挨拶した。
男性も片手をあげて挨拶を返してくれ、「シーッ」と言うように右手の人差し指を口に当てた。
私たちはそのまま練習を続けていたけれど、男性はそれまでの大声が嘘のように静かに辺りを歩き回ったり、何かを眺めたりしていた。
やがて、地べたに座り込んで、紙に何か書いている様子だった。
かなりの時間、そうやって何かを書いていた・・・左手にはグローブをはめたように何かを撒きつけていたので、右手だけで書くのは大変そうだった。
やがて私たちもそろそろ上がろうかという時、男性が手招きをした・・・視線から見て私に対してのようでもある・・・。
私?と自分を指差すと、そうそう・・・とうなづく。
師匠やあに弟子も一緒に男性に近づくと、紙を差し出してきた・・・さっきから書いていた紙。
「運動するのは健康に
いいことです。
強いね!
かっこいい!」
しっかりした、良い字!
裏には人の絵が描いてあって、「プロレス」の文字。
そうか、プロレスやってたんだ!
声に出しながら読んで、男性にありがとう、と言うと、男性も「ありがとう」
そして、おちょこで一杯やるマネをしながら、自分の頭を指差してクルクルと・・・。
そうか、アルコールで頭やられちゃったといいたいんだ・・・。
なんだか、せつなくて、嬉しくて・・・叫んでるだけみたいだけど、自分のことも周りのこともわかってるんだね・・・みんなが避けているオジサンが実はすごくいい人に思えて・・・。
帰りがけ、お互いに手を振って別れたけど、その後はまたいつものように意味不明なことを大声で叫びながら、フラフラと歩いていたおじさん・・・。
なんか、すごい人とお友達になってしまったかもと思ったひととき・・・。
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心が通い合った瞬間は、うれしいですね。
by niki (2012-07-08 23:37)
nikiさん、コメントありがとうございます。
耳が聞こえないようでもあり、いつも大声で叫んでいるだけ・・・紙に書かれたメッセージが嬉しく、初めて聞いた言葉が「ありがとう」、そしてすごくいい笑顔でした。
by michaela (2012-07-09 08:26)